ポルターガイスト~封じられた扉~
☆☆☆

目を覚ました時、あたしたちは亜香里ちゃんの部屋の中にいた。


ポルターガイストの後に片づけをしているものの、徐々に部屋の中は荒れ始めていた。


「百合の花は枯れちゃったね」


杏美が床に落ちている百合の花に気がつき、テーブルへ置いた。


元浩が用意してくれた花瓶は幸い割れずに残っていた。


杏美は枯れた花を花瓶に入れてテーブルに置いた。


形だけでもちゃんとしておこうと思ったのだろう。


「そう言えば、前回持ってきた他のものは?」


紀人に聞かれて元浩は周囲を見回した。


「ないな……。前回ここで目が覚めた時も、花瓶しか持ってなかった気がする」


記憶を辿るように元浩は答えた。


「この部屋に持って入れるものって、限度があるのかもしれないな」


そう言ったのは広貴だった。


すべてが憶測に過ぎないけれど、その可能性は十分にあった。
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