ポルターガイスト~封じられた扉~
なんでもかんでも部屋に持ち込まれたら、亜香里ちゃんだって迷惑だろうし。


「亜香里ちゃん、今は眠ってるみたいだけど、どうする?」


杏美がそっとベッドの中を覗き込んで声をかけてきた。


「もう1度日記を読んでみてもいいけど、亜香里ちゃんに一番必要な物は愛情だってもうわかってるんだ」


紀人はそう言いながら杏美の隣にたった。


そして、恐る恐る亜香里ちゃんに手を伸ばす。


「なにする気?」


隣の杏美が止めようとするが、紀人はゴクリと唾を飲み込んで亜香里ちゃんの前髪に触れていた。


紀人の手が優しくなでる。


「俺たちみたいな子供ができることなんて限られてる。でも……こうして抱きしめてあげることは簡単にできる」


紀人はそう言い、意を決して覆いかぶさるようにして亜香里ちゃんの体を抱きしめていた。
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