ポルターガイスト~封じられた扉~
「あれが洋司君の魂?」


あたしが聞くと「たぶんな」と、広貴が返事をした。


亜香里ちゃんは視線を戻すと、いつの間にか体を横たえて寝息をたてていた。


「これで洋司君はいなくなったんだね。亜香里ちゃんは自由になったんだ」


杏美がホッとしたように言う。


確かに、もう安心だ。


亜香里ちゃんは自分の意思で天国へ旅立って行くことだろう。


でも……。


どこか引っかかることがあった。


最後の洋司君の言葉。


『本当にいいんだね?』


あれは間違いなく、あたしたちに向けられた言葉だった。
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