ポルターガイスト~封じられた扉~
「これ、家政婦さんが書いたんだ!」


文章の内容からして、そうとしか考えられなかった。


「宝来家の人たちは亜香里ちゃんが二重人格になったと思っていたんだね」


そう思っても仕方なかったかもしれない。


1人でおしゃべりをして、1人で笑っているのだから。


【亜香里お嬢様のもう1人の人格はとても恐ろしい。


毎回奇声を発して、部屋のものを壊していく。


こんなに乱暴なお嬢様を、私はみたことがない】


「乱暴な人格……?」


横から見ていた広貴が呟く。


落下してバラバラに砕けた家具が、部屋中に散らばっているのを見る。


明らかに、今までとは違ったポルターガイストだ。


棚や花瓶が爆発することなんて今まで1度もなかったのだから。


「まさか、ここに残った魂は……亜香里ちゃんのもう1人の人格?」


広貴が目を丸くし、空中に浮かぶ亜香里ちゃんへ視線を向けた。
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