ポルターガイスト~封じられた扉~
「なにこれ……どういうこと!?」


杏美がその場に尻餅をついて泣き始めた。


目の前で起こった出来事が衝撃的すぎて、理解できない。


「あたしは一刻でも早くこの部屋から出たかった。それなのに、洋司と亜香里の2人があたしを体の奥底に閉じ込めて離さなかったんだ!」


亜香里ちゃんの目から、ボロボロと黒い水があふれ出す。


「だからあたしはもう1人の愛奈を作り上げた。亜香里が、あたしを作ったのと同じようにね……」


「それが、あたしたちの知っている愛奈……?」


震える声で訊ねると、亜香里ちゃんは頷いた。


「そう。強い念で作り上げた愛奈を外へ出し、あたしの手助けをさせたんだ」


「そんなはずないだろ! 愛奈は俺たちとずっと一緒だった!」


紀人が叫んだ。


その途端、亜香里ちゃんの大きな笑い声が響き渡った。


「それは全部作り物の記憶だ。あたしが、自分のためにお前たちをここへ誘導しただけだ」


そんな……!


あたし達は最初から、愛奈に踊らされていたってこと!?
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