ポルターガイスト~封じられた扉~
「ここから出るためには眠るしかない!」


そう叫んだのは杏美だった。


ボロボロと涙をこぼしながらも、懸命に出口を探していたのだろう。


「こんな状態で眠れるわけないだろ!」


元浩が叫ぶ。


「それでも眠るしかないんだよ!」


しかし、一向にあの眠気は襲ってこない。


強烈な、立っていられなくなるような眠気。


「ダメだ……! 間に合わない!」


広貴が叫んだ時、水は肩までの深さになっていた。


ドロドロの水は重たくて浮き上がることができない。


あたしは懸命に背伸びをして、少しでも水から顔を遠ざけた。


ポルターガイストを引き起こした時、家具が破裂した理由が分かった気がした。


あたしたちが家具の上に乗ったりして、死をまぬがれられないようにしたのだ。


肩まで来た後は本当にあっという間だった。


「純奈!」


広貴の声がする方へ手を伸ばす暇もなく、あたしは水の中へと沈んで行ったのだった……。
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