ポルターガイスト~封じられた扉~
☆☆☆

目が覚めた。


部屋の白さに顔をしかめて、あたしは大きく呼吸を繰り返していた。


なにかとても怖い夢を見ていたようなのに、思い出す事ができない。


覚えているのは黒い水と、恐怖だけ。


一体あたしになにが起こったんだっけ……?


ベッドの上で上体を起こしたとき、ベッド横の椅子に愛奈が座っているのが見えた。


愛奈はニッコリとほほ笑んでいる。


その笑みにホッと安堵した瞬間、言い知れぬ恐怖が胸の奥を突き上げて来た。


どうして愛奈がここにいるんだろう。


愛奈はあたしの友達のはずだけど……愛奈って……誰だっけ?


今までの記憶や思考回路がバラバラと崩れ落ちて行くのを感じる。


「あなたは……誰……?」


あたしは愛奈へ向けてそう聞いた。


相手は愛奈だとわかっているのに、なぜだか聞かずにはいられなかった。
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