ポルターガイスト~封じられた扉~
「これ、クッキー……?」


愛奈がテーブルの上に置かれているクッキーを見て眉を寄せた。


あたしたちはクッキーを作っていない。


それなのに、テーブルの上には綺麗にラッピングまでされたクッキーが並んでいたのだ。


「どういうこと? 準備はしたけど、作ってないよね?」


愛奈の言葉にあたしと杏美は頷く。


けれど、なにも言えなかった。

一体なにがどうなっているのか、見当もつかない。


「もしかして、集団で寝てたとか?」


思いついたことがあるのか、広貴が言う。


「え?」


あたしは眉を寄せて聞き返した。


「時々あるだろ。1人が過呼吸を起こしたらそれが感染していく現象。もしかしたら、あれが俺たちにも起きて、一斉に眠ったんじゃないか?」


そうなんだろうか?


それで同じ悪夢を見た……?


実際にありそうな事件だけれど、イマイチぴんと来なかった。


「クッキーが出来上がってるのが不思議だよね。あたしたち、無意識の内に作って、そのまま寝ちゃったってこと?」


愛奈が言う。


「わからないけど、今日はもう帰ろうよ」


グッタリとした様子で杏美が言ったのだった。
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