ポルターガイスト~封じられた扉~
「嘘だろ……」


その声に視線を向けると広貴が起きていた。


パジャマ姿の広貴を見て、あたしは自分の体を見下ろした。


あたしもパジャマ姿のままだ。


「ここって昼間見た部屋?」


いつの間に起きたのか、杏美が泣き声で言う。


みんなそれぞれ目を覚まし、混乱した表情を浮かべ始めている。


あたしはジッとベッドの上を見つめた。


布団は微かに膨らんでいて上下している。


あの少女が眠っているのだろう。


「あたし、普通に自分の部屋で寝てたはずなのに」


愛奈の言葉に「あたしもだよ」と、返事をした。


そして気がついたらここにいた……。


「誰かに拉致された可能性は低いよな」


考え込むようにして紀人が呟く。


「俺たち6人の家に忍び込んで、起こさないようにここまで移動させるなんて、さすがに無理だ」


「でも、現にあたしたちここにいるじゃん!」


紀人の冷静な分析を受け入れられず、杏美が叫ぶ。

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