ポルターガイスト~封じられた扉~
「とにかくここから出ないと」


元浩がそう言い、ドアノブを回す。


しかし、昼間と同じでドアはびくともしない。


咄嗟にズボンのポケットに手を入れてスマホがないか確認してみたけれど、なにも入っていなかった。


眠った時に持っていれば、持ってくることができたのかもしれない。


「また圏外だよ」


そう言ったのは杏美だった。


手にはスマホが握りしめられている。


あたしはすぐに駆け寄り、画面を確認した。


明るいライトの中、電波は圏外になっていた。


「どうしてスマホを持ってるの?」


「今日はスマホを持ったまま寝ちゃったんだよ。そしたら、ここに来たときも持ってた」


あたしたちは眠ったときの姿のままで、ここに飛ばされたみたいだ。
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