ポルターガイスト~封じられた扉~
それが分かっていれば、使えそうな道具を用意していたのに……。


そう思って見ても遅い。


そもそも、こんなことになるなんて考えてもいなかった。


「ドアは開かない。他に出入り口がないか調べてみよう」


ドアを開ける事を一旦諦めた元浩が、今度は壁を確認しはじめた。


劣化している壁や天井は今にも崩れ落ちてしまいそうだ。


壁を叩いたり押したりしながら、外に出られないか確認している。


あたしはそれを真似にて逆側の壁を確認することにした。


「床下とか、出られないかな……」


広貴はそう呟いてカーペットを剥がして確認している。


その瞬間ホコリが舞い上がった。


「広貴、床は花瓶が散乱してるから気をつけてね」


あたしは壁を確認しながらそう声をかけた。


昼間落下した花瓶はそのままで放置されている。


少女はそこにいるのに、片付けなかったみたいだ。
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