ポルターガイスト~封じられた扉~
棚の所まで差し掛かったところで、あたしは首を傾げた。


「ねぇ、これって窓枠かな?」


半分以上棚に隠れる格好になってるが、その奥には窓があるよう見えた。


「本当だ! 窓があるなら、外へ出られるぞ!」


紀人が興奮気味に言って駆け寄ってきた。


「でも、外はなにも見えないよ? それに……こんな所に窓なんてあったっけ?」


ここは調理室の壁の中にある部屋だ。


学校を外から確認した時に、ここに窓なんてなかったはずだ。


あたしの質問に紀人は動きを止めた。


窓の外をマジマジと確認している。


「なにか見える?」


そう質問した瞬間だった。


窓の向こうの暗闇から、窓一杯ある大きな目が見開かれたのだ。


ギョロリとして、濁って灰色になった目があたし達を捕らえる。


「キャアアア!」


あたしは悲鳴を上げ、その場に尻餅をついてしまった。


目玉は一瞬にして消えて、窓の外には再び暗闇が広がっている。


「なんなんだ今のは!」


紀人は蒼白顔になり、窓から離れた。
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