ポルターガイスト~封じられた扉~
「お願い。あなたがなにを望んでいるのかわからないけど、あたしたちあなたの願いが叶うように頑張るよ? だからここから出して!」


布団をギュッと掴んで懇願してもダメだった。


亜香里ちゃんは自分のタイミングで目を覚まし、悲鳴を上げてポルターガイストを起こすだけだ。


あたしは絶望感からその場に崩れ落ちてしまいそうになるのをどうにか我慢した。


部屋の中を見回し、教科書はノートを拾い上げて行く。


「いくら掃除しても結果は同じだ」


広貴にそう言われても、あたしは手を止めなかった。


教科書や日記を見る限り、亜香里ちゃんはしっかりものだ。


自分の部屋だって綺麗にしていたいはずだ。


本当はこんなことしたくないんじゃないかな?


そんな風に感じられたのだ。


あたしが片づけを始めると、呆れたため息を吐きだしながらも広貴が手つだってくれた。


大きな棚は簡単には移動できないけれど、落下してきた辞書や漫画本を一旦机の上に避難させると、歩く場所ができた。
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