ポルターガイスト~封じられた扉~
「そのクッキーさ、出来上がったら味見させてよ」


元浩の言葉にあたしたち3人は目を見交わせた。


言われなくても、これは3人のために作ったものだ。


「やめろよ元浩。そのクッキー、好きな人にあげるやつだったらどうするんだよ」


冗談半分で紀人が言い、あたしの心臓がドクンッと跳ねた。


こっそり準備してサプライズプレゼントをする予定だったのに、これじゃ計画は台無しだ。


このまま素直に『広貴たちにあげようと思って作ってるんだよ』と、バラしてしまった方がいいかもしれない。


そんな考えを巡らせていた時、広貴が鞄からペットボトルのジュースを取り出してキャップを開けた。


ここに長居するつもりなのか、近くの椅子に座ってこちらの様子を見ているのだ。


好きな人に見られながらクッキーを作るのはなかなかプレッシャーがかかることだった。


女子たち3人は手を止めたまま、困ったように眉を下げた。


ここにいられても困るけれど、出て行けだなんて言えないし、どうすればいいんだろう……。


そう思った時だった。
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