ポルターガイスト~封じられた扉~
「あそこだ」


紀人の言葉であたしたちは立ち止まった。


前方に大きな赤い屋根が見える。


この辺で一番大きな寺だった。


寺に到着して社務所へ声をかけると、すぐに作務衣姿の住職さんが出て来てくれた。


普段はアルバイトの巫女さんなどはいないみたいだ。


「若い方々が、どうされました?」


普段あまり寺には来ないので、受け答えに一瞬困ってしまった。


人のお墓を見せて欲しいなんて言って、怪しまれないだろうか。


言い淀んでしまったあたしを尻目に、広貴が一歩前へ出た。


「桜高校の寺林といいます。実は知り合いがここに納骨されているはずなんです」


広貴はそう言って花を見せた。


「そういうことでしたら、案内します。なんせここに眠る魂は千を超える勢いですから、私がご案内しましょう」


住職は言いながら本殿へ向けて歩き出した。


あたしたちは慌ててその後を追い掛ける。
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