ポルターガイスト~封じられた扉~
「俺にもひと口くれよ」


紀人が広貴に近づき、ペットボトルに手を伸ばした。


「あぁ」


広貴が頷いてペットボトルを差し出したのだが……紀人がそれを受け取る寸前で、体のバランスを崩していた。


オーブンを使うため、床下に設置されているコンセントの蓋を開けておいたのだ。


それに足を引っかけた紀人が前のめりに倒れ込む。


同時に広貴が驚いた表情で立ち上がり、ペットボトルは中身をまき散らしながら空中を舞っていた。


「ちょっと、大丈夫!?」


すぐに紀人へ駆け寄ったのは愛奈だった。


「いってぇ……」


顔をしかめる紀人の横にしゃがみ込む。


幸い、テーブルなどにぶつかってはいないので怪我はなさそうだ。


「ごめん。コンセントの蓋を開けてたからだよ」


あたしは慌ててそう言い、コンセントの蓋を閉めた。
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