ポルターガイスト~封じられた扉~
眠る時に広貴が持っていたから、ここまで一緒に来たみたいだ。


「本当だね! 花瓶が割れちゃったから、新しいのを用意しなきゃいけないけど……」


そこまで言い、杏美は口を閉じた。


途端に青ざめて目を丸くする。


「どうしたの杏美? 化け物でも見た顔して」


そう聞きながら振り向くと、ベッドの上に座っている亜香里ちゃんがいた。


あたしは「ヒッ!」と悲鳴を上げて後ずさりをする。


亜香里ちゃんは相変わらず目から黒い水を流している。


その目はどこを見ているのかわからなかったけれど、あたしたち6人を睨み付けているようにも見えた。


「みんな! ベッドの横へ移動するんだ!」


紀人が叫び、同時に6人全員が動いた。


ベッドの横のスペースに入れば、大きな家具は飛んで来ない。


もし飛んできたとしても、ベッドと壁が邪魔をして入って来られないのだ。
< 79 / 202 >

この作品をシェア

pagetop