ポルターガイスト~封じられた扉~
全員がベッドの横に身をかがめた時、亜香里ちゃんの悲鳴が聞こえて来た。


「くそっ! 何度聞いてもきついな……」


広貴が顔をしかめて騒音に耐える。


悲鳴は地響きのように部屋を揺るがし、鼓膜を突き破って脳内まで侵入してくる。


家具や本があちこちに飛び回り、頭を上げることもできなかった。


「これだけ強い力があるのに、どうしてここから出ないんだろう」


ふと疑問が浮かんできてあたしは呟いた。


しかしその呟きは悲鳴によってかき消される。


すぐ隣にいる人の声だって、今は聞こえてこなかった。


これだけ物を持ち上げたりできるなら、あたしたちの誰かにとりついて外へ出ることだってできそうな気がする。


でもそれは、幽霊になったことのない人間の幻想なんだろうか?
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