ポルターガイスト~封じられた扉~
「ここだけ黒いな」


そう言ったのは元浩だった。


「え?」


杏美が首をかしげている。


「ジュースがかかった部分はもっと広範囲なのに、一部分だけ黒くなってる」


元浩にそう言われてよく確認してみると、確かにジュースはもっと広範囲にかかっているようだ。


「この黒い部分、なにかの形に見えるな」


広貴が黒くなった壁に触れて呟いた。


「そう?」


あたしは首を傾げる。


ただのシミにしか見えないけれど……。


「もう少し濡らしてみよう」


そんなこと言い出したのは紀人だった。


紀人はあたしたちが準備していたボールに水を溜めて、それを思いっきり壁にかけたのだ。
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