私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)


「舞さ
 バックにつけてるそれってなんだよ」



エイトは
私が魔法かいに行くときにいつも下げている
斜めがけのポーチを指差した



「この缶バッチのこと?
 これは、私の好きなアニメキャラだよ
 この男の子、ずっごくカッコいいんだ」



「なんだよそれ
 アニメってことは、ただの絵じゃん
 普通、そんなの好きになるか?」



確かにただのイラストですけど……



私にとっては、無くてはならない宝物なの!



私は高校卒業するまで
誰かに恋をすることなんてできない



大好きなアニメを見て
イケメン君に癒してもらっているんだから




「この子の良さを
 エイトにわかってもらえなくていいもん」



「舞、ちょっとその缶バッチ貸して」


渡したくないって思ったけど
エイトがなぜか
ムッとした表情を私に向けるから
手渡してしまった



「はい。缶バッチ没収」



「なんで!返して!」



「いくらアニメのキャラでも
 俺の彼女役をやってるのに
 イケメンの缶バッチつけてたら
 おかしいじゃん」



意味が分からない……



その缶バッチは
私の心の支えなのに……




「ま、俺の彼女役が終わったら
 ちゃんと返してやるから」



エイトはそう言うと
私の大事な缶バッチを
胸ポケットに入れた

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