私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)
☆エイトside☆
「ここに戻ってきたってことは
もうエイトは帰る時間だよね?」
どうしても舞と二人だけになりたくて
早めに戻ってきけど
恥ずかしくて
本当のことが言えない……
「あと10分なら
付き合ってやってもいいけど」
何言ってんだよ俺!
素直に言えよ!
お前と一緒にいたいって!
他の奴には思ったことを
ズバズバ言えるのに
舞には素直になれない自分がいる
「じゃあエイト
クスノキの上まで連れてってよ」
「別に…いいけど」
本当は舞を
お姫様抱っこして行きたかった
でも
舞のことを意識しすぎて
どうにかなりそうだったから
瞬間移動で30メートルの高さまできた
二人で宙に浮いていると
「エイト!やっぱり無理!
高い!怖すぎ!」
俺の裾をギューっと握りしめて
舞が震えている
「しょうがねえな
これなら大丈夫だろ!」
俺は水色のシャボン玉のような
透明な空間を作ると
そこに2人がけ椅子を出してやった
「これなら、観覧車みたいで大丈夫だけど…
でも、ちょっとだけ怖い…」
ちょっとだけ怖いって言ってるけど
結構震えてんじゃん
大丈夫って強がっているのに
変わらず俺の裾を握りしめている舞が
可愛いと思ってしまう
「手、握っててやるから」
「あ……ありがとう」
俺の方を見ていってほしいのに
斜め下をむいてお礼をいう舞
俺やっぱりダメだ…
舞のことが好きすぎて
どうしていいかわからない
握った舞の指がかすかに動くたびに
俺の体も反応して緊張してしまう
緊張をごまかす方法はただ一つ!
俺はお前なんて好きじゃないって
態度をとることだけ
あ~
帰ったらきっと
ハリルにトゲトゲ攻撃を食らっちゃうな
そんなことを考えているとき
舞がうつむきながら話しかけてきた