私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)
☆エイトside☆
「うわ~
すっげードキドキした」
今日のことを思い出すだけで
鼓動が早くなるのがわかる
「ハリル!
俺、頑張ったよな?」
肩にのっているハリセンボンに似たハリルが
棘を体にしまって
俺の頬にすり寄ってくれた
俺が情けないことをすると
ハリセンボンのように体中の針をとがらせて
俺をボフボフ突きに来る
でも
今日は俺の頑張りを認めてくれたみたいだ
俺は魔法界の王子 エイト
魔法学校10年生
人間界の高校1年生と同い年ってことだな
俺は国王の一人息子だから
いずれは俺が
この国を背負わなければいけない
だから毎日魔法学校から帰ると
寝るまでの俺のスケジュールはびっしり
武道、剣術、人間界の勉強に魔法の特訓
魔法界の歴史からこの国の掟や法律
色んな事を叩き込まれている
俺に許される自由時間は
学校から帰った30分だけ
しかも
あと8か月後の3月
魔法学校を卒業したら
親が決めた許嫁と婚約をしなければいけない
子供のころから何度も言われてきた
『お前の結婚相手は、カノンだ』って
同い年のカノンとは
幼馴染のように育ってきた
いつも元気で
周りを笑顔にするカノンは
可愛いとは思う
国民も
カノンが魔法界の女王になれば
納得するだろう
でも
子供のころから今まで一緒に過ごしていても
カノンに心を揺れ動かされたことが一度もない
俺は本気の恋がしてみたい
どうしようもなく大好きで
その子のことばかり考えてしまうような
自分を犠牲にしても良いと思えるような
そんな本気な恋がしてみたい