私が王子の彼女役? (365枚のラブレター もう1つの恋)

☆舞side☆

次の日から
放課後にエイトに
会いに行く日々が始まった



待ち合わせ場所は、魔法界の入り口


30メートルの高さの
クスノキがぽつんとあって
その先は
魔法界のお城に続く一本道



道の両側には
エイトの髪の色と同じ紫色の桜が
お城まで続いていて
一年中、咲き誇っている



今まで魔法界に
くしや鏡なんて持って行ってなかったけど
今日からは必需品なんだ


だって
グルリングルグル滑り台をすべると
毎回髪の毛が爆発しちゃうんだもん



いくら
エイトの本当の彼女じゃないとはいえ
そんなボサボサな自分では会いたくない



魔法界に着き
髪の毛をセットして
いろんな角度から鏡で自分をチェック



「うん!これなら大丈夫」



「何が大丈夫なの?」



「ひゃ?」



いきなりのエイトの登場に
いつも出さないような
1オクターブ高い声が出ちゃった



しかもエイト…


私の目の前で
逆さになって宙に浮いているし……




「もう、普通に出てきてよ」



「舞の驚いた声が可愛かったから
 明日も脅かしちゃうもんね」



「もう!魔法界に来ないよ!」



「冗談だって

 プーってなんてる舞も
 結構可愛いじゃん」



私は可愛いなんて
言われてどう反応していいかわからず
ふてくされた風を装った



でも
ただの彼女役の私に
『可愛い』なんて言わないでほしい



エイトに言われるたびに胸がキュンとして
もっと言ってほしいって思っちゃうから




舞!ダメだよ!

エイトに言われたでしょ!

『俺のことは好きになるな』って

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