桜が咲く日、桜の下で、想いを描く
私と早川先輩が話すようになったのは、私が中学一年生の秋だった。
部室で絵を描いていた時、早川先輩は私のスケッチブックを覗き込んで色々とアドバイスをくれた。
その時、私は、何で私に話しかけたのか、と問いかけた。
「……ごめん。絵柄が、俺の好みだったから……」
そう言ってはにかむ先輩に、私は恋に落ちた。先輩の好きだという絵柄を崩さないように、たくさん描いて練習した。
絵は、描けば描くほど上手になる。もう、この4年間でどれだけスケッチブックを使ったのか分からない。多分、20冊はあると思う。
上手くなれば、先輩は「上手になったね」って褒めてくれた。こういった会話から、世間話をするようになり、今では仲良しだ。
「あ、河村(かわむら)さん!」
美術部部長の小林(こばやし)先輩が、私に近寄ってきた。
「小林先輩、どうしました?」
「……この日、空いてる?」
小林先輩は、そう言ってカレンダーを指さした。
「空いてますけど、どうしたんですか?」
「いや、田中先生が行ける人で美術館に行こう!って言ってて……」
その言葉に、私は「行きたいです!」と考える間もなく答える。
「俺も行きたい」
「分かった。田中先生に言っとくね!」
そう言って、小林先輩は美術室を飛び出した。
部室で絵を描いていた時、早川先輩は私のスケッチブックを覗き込んで色々とアドバイスをくれた。
その時、私は、何で私に話しかけたのか、と問いかけた。
「……ごめん。絵柄が、俺の好みだったから……」
そう言ってはにかむ先輩に、私は恋に落ちた。先輩の好きだという絵柄を崩さないように、たくさん描いて練習した。
絵は、描けば描くほど上手になる。もう、この4年間でどれだけスケッチブックを使ったのか分からない。多分、20冊はあると思う。
上手くなれば、先輩は「上手になったね」って褒めてくれた。こういった会話から、世間話をするようになり、今では仲良しだ。
「あ、河村(かわむら)さん!」
美術部部長の小林(こばやし)先輩が、私に近寄ってきた。
「小林先輩、どうしました?」
「……この日、空いてる?」
小林先輩は、そう言ってカレンダーを指さした。
「空いてますけど、どうしたんですか?」
「いや、田中先生が行ける人で美術館に行こう!って言ってて……」
その言葉に、私は「行きたいです!」と考える間もなく答える。
「俺も行きたい」
「分かった。田中先生に言っとくね!」
そう言って、小林先輩は美術室を飛び出した。