桜が咲く日、桜の下で、想いを描く
部活は、毎日のようにある。私は、今日も部室に入った。
「よう、紗綾」
早川先輩は、動かしていた手を止め、私を見る。
「……お前、何を悩んでんだ」
早川先輩は、私をじっと見つめながら言った。私は、無理に笑って「何でもないよ」と答える。
「嘘つけ。お前、嘘をつく時、少し挙動不審になるよな。俺の観察力をなめんな」
そう言って先輩は、私に近づいた。私は、その言葉を聞いた瞬間、ポロリと涙がこぼれ落ちる。
「……っ。最初から、おかしいって、気づいてたのに……声をかけれなかった……『大丈夫?』って、言えなかった……っ」
香澄ちゃんは、その時間、過呼吸を起こして保健室に運ばれた。授業が終わったあと、保健室に様子を見に行った時、香澄ちゃんは、1人で色々と悩んでいたそうだ。
「少しでも、声をかけて……なんでもないって誤魔化されても、いいから……っ、香澄ちゃんの気持ちを、楽にして、あげたかった……」
私がそう言うと、早川先輩は私を優しく抱き寄せた。私は、恥ずかしさと嬉しさで、頬が熱くなる。
「そこに気づけるだけでも、すごいと思うよ。少しづつで良い。ゆっくり、声をかけれるようになれば良いんだよ」
私は、その言葉に泣き崩れた。