桜が咲く日、桜の下で、想いを描く
「秋だ!芸術だ!美術館だ!」
美術部の行けるメンバーで来た美術館の広間。早川先輩は、そう叫んで両手を広げる。
「河村、早川の奴……めっちゃはしゃいでない?」
同じ部活の坂本先輩は、私に声をかけて来た。なぜ、私に声をかけて来たのかは分からないが。
「そうですか?普段からあんな感じですよ?」
「そ、そうなの?」
私は、坂本先輩に微笑む。坂本先輩は「そっか」と微笑み、小林先輩と一緒に美術館内を歩き始めた。
今回、3年生3人、2年生2人、1年生1人と顧問の先生である田中先生と一緒に来ている。1年生は、私だけだが、とても楽しみだ。
「紗綾~!一緒に回ろ!」
人懐っこい笑顔で、早川先輩は笑った。私は「良いですよ!」と早川先輩と回ることに。
美術館内を歩いていると、かの有名な展示物が私の目に飛び込んだ。
「あ!『最後の晩餐』!」
「お、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた絵だね」
最後の晩餐は、イエス・キリストが、「この中に裏切り者がいる」と言った時の様子が描かれている。
「レオナルド・ダ・ヴィンチって……モナ・リザとかも描いてますよね!」
私は、興奮気味で聞く。早川先輩は「そうだよ」とうなずいた。