篠田くんの取扱説明書
「仁、
久しぶりに登校すると思ったらずいぶん顔色悪いじゃん」
「……最近、すげぇ寝覚めが悪くて」
「悪夢でも見てんの?」
朝。
大雅くんと一緒に登校するために合流すると、大雅くんに心配された。
……ここ最近、ほぼ毎日さっきの夢を見る。
そうだ…久我の、額の傷を見たあの日あたりから…。
寝覚めが悪くて、しばらく学校を休んでいたが、ずっと休んでるわけにもいかず、1週間ぶりに登校するわけで…
久我にカーディガンを貸したのもあって、
久我は俺が風邪をひいてると誤解してないか、それだけが心配だ。
久我なら、絶対自分のせいだと思ってしまうだろうから。
「で、どんな夢なんだよ?」
「……昔、俺を助けてくれた、女の子が現れるんだ。
髪はボブっぽいからそうなんだと思う」
「へぇ。良いことじゃん。
それがなんで悪夢なんだ?」
「……俺が幸せになってるのを恨んでるような、そんなことを言うんだよ」