篠田くんの取扱説明書
*篠田くんの友達
嫌々だったが、寝てる時の方がいいと思って
昼休みが終わる前に視聴覚室へ向かった。
……って、なに真面目にあんなお願い受けてるんだろう。
逃げればいいじゃん。
私は今からボコボコにされるかもしれないんだもん。
逃げても罰なんて当たらない。
でも逃げたら、蜂谷くんにボコられそう。
結局ボコられるわけだ、私。
気持ちがどんより落ち込んだまま、視聴覚室に着いた。
……ていうか、冷静に考えたら
背後に立つだけで投げ飛ばされるんだとしたら、篠田くんは相当、人の気配に敏感だと思う。
近付くどころか、ドア開けただけで、気付くんじゃないかな…。
……すごく深い眠りについてますように!
胸の前で両手を合わせてから、静かにドアを開けると、
小さく開かれた窓から入った風が、ドアから廊下へ抜けていく。
その時、ふわふわと動いたものに、釘付けになった。