篠田くんの取扱説明書
「……どうした?」
「ごめんなさい…懲りずに作ってきて…。
バカにした笑い…だよね…」
「…は?」
懲りずに作ってきて…とは?
「前に作ったのは…食べてもらえなかったのかなって思って…また作ってきてしまって…。
やっぱり、迷惑だった…よね」
「前に作ったって?
俺に?」
「うん…」
「もらってないけど」
人違いじゃないか?と首を傾げると、
久我が『え!?』と声をあげた。
「あれ!?
この間、ここにチョコチップマフィンを置いていったんだけど…」
「置いてった?」
「メッセージカードも置いていったんだけど…」
そんなもの、もらってない気がすんだけど…。
わからない、と言うと、久我が困ったような顔をした。
「えぇ…
じゃあどこにいったんだろう…」
「俺が気付かずに置いてって、
誰か他に持ってっちゃったとか?」
「そ、そうかも…」