篠田くんの取扱説明書




「久我」



「え?」



「これ、前にくれたっていうマフィンと、同じように作ったのか?」



「うん…。
味見してなかったから、不味いと思わなかった…
ごめんね…
でも、わざとじゃなくて…!」



「……」




ガタッと立ち上がって、久我を見下ろす。




「久我」



「…え?」



「考えたいことがある。
……少し、1人にしてくれないか」




……モヤモヤする。



俺の言葉を聞いた久我は、



小さく頷くと視聴覚室を出ていった。






……俺、



……なにか、大きな間違いをしている気がする。





< 126 / 287 >

この作品をシェア

pagetop