篠田くんの取扱説明書
「久我」
「え?」
「これ、前にくれたっていうマフィンと、同じように作ったのか?」
「うん…。
味見してなかったから、不味いと思わなかった…
ごめんね…
でも、わざとじゃなくて…!」
「……」
ガタッと立ち上がって、久我を見下ろす。
「久我」
「…え?」
「考えたいことがある。
……少し、1人にしてくれないか」
……モヤモヤする。
俺の言葉を聞いた久我は、
小さく頷くと視聴覚室を出ていった。
……俺、
……なにか、大きな間違いをしている気がする。