篠田くんの取扱説明書
はぁ〜〜と長いため息をついたとき。
「あ、仁おはよ」
「はよ。
大雅くんのクラス、朝早くから忙しそうだな」
「衣装の貸し出ししてるからな」
後ろから篠田くんの声がして、
先輩と篠田くんが話しているのに、私は背中を向けたままビクビクしていた。
あぁ…篠田くん…なんで先輩のクラスに来たの?
早く教室に行って…。
「……あ、いた」
隠れるように先輩たちから離れていたら、
後ろから被っていたフードを引っ張られた。
「やっぱり久我だ」
「……し、篠田くん…おはよう…」
「うん、はよ」
はよ、だって…。
篠田くんに多大な迷惑をかけたというのに…篠田くんは普通に挨拶してくれた…。
なんて優しい人なんだろう。