篠田くんの取扱説明書
───夢を見た。
傷だらけの中学生くらいの男の子が、私の額にキスをする。
私の苦い思い出を
慈しむような、そんな優しいキスをする……夢。
ふわ、と窓から入った風が頰を撫でた時、目が覚めた。
「………
あれっ!?もう夕方!?」
辺りはすっかりオレンジ色に染まっていて、急いで体を起こす。
やばいやばい!これ借り物の衣装なのに…!シワになっちゃう…!
パンパンと手でちょっとシワを伸ばしながら、辺りを見回した。
「あれ…?」
私が食べたもののゴミがなくなってる…?