篠田くんの取扱説明書



「桃奈ちゃんが中3の時、
俺は高1で
結構…荒れてたんだよ。

秋くらいに、ちょうど友達と上手くいかなくなって…
むしゃくしゃして、他校のヤツらとケンカするのが日常になっていて。
恨まれるのも、普通のことだった。
だから、そん時よく一緒にいたアイツが巻き込まれたんだよ」



「……あの男の子は、悪くなかったんですか?」



「……そうだね。
当時は全然ケンカとかもしてなかったし、
アイツは…ただの、普通の中学生だった」




あの日。



ピアスを大事そうに持つ男の子に、高校生が絡んできて…



いきなり男の子の顔を殴って、ピアスを奪った。



必死にピアスを取り返そうとする男の子を、高校生は殴り続けた。



男の子は途中で、諦めたように地面に座り込んで…。



私はそんな男の子を放っておけなくて、ピアスを持って去ろうとしていた高校生にケンカを売ったんだ。




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