篠田くんの取扱説明書



まだ授業が始まるまでには時間がある。



……篠田くんに、どんな顔して会えばいいのかわからない。



だからまだ教室に戻りたくなくて、また中庭を歩いていた。



……それにしても、



さっき先輩が言ってたことって、どういう意味だったんだろう?



美月さんのまわりを歩いちゃダメなの?



私が美月さんに近づくのは相応しくないってことかなぁ…まぁそうだけど。



うーん、と顎に手をあてて歩いていると



急に影がさした気がして。



その直後。




───バシャ!!




「………え?」




またいつかのように、全身に冷たい水を浴びていた。



そして



ガコンッ!と時間差で目の前に落ちてきたバケツにビックリして、声を出さずに尻もちをついてしまった。



……な、



なに…?





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