篠田くんの取扱説明書
また、私に気付かずに水を…?
でも…バケツも落ちてきたし…
……わざとっぽい気がする。
いや…そんな。根拠もないのに人のこと悪くいうのは良くない。
でも……これは…。
「くっさ…」
しかも前は綺麗な水だったのに、今回は雑巾絞った後の水っぽい。臭いし、汚い。
それを捨てて、人にかかって、しかもバケツも捨ててるって…偶然なはず…ないよね?
最悪だ、と思いながら立ち上がろうとする。
その時に、なぜかじわ、と目頭が熱くなって。
「……大丈夫」
それ以上視界がぼやけないように、首を振って必死に我慢した。
……泣くな。泣いちゃダメ。
事故じゃなくて、私が知らない間に誰かに恨まれててこうなってるんだとしても、泣いちゃダメだ。
情けない姿は、誰にも見せたくない。