篠田くんの取扱説明書
先輩、息、切れてた。
あんな必死そうな顔を見たのは、初めて。
さっきまで屋上にいたのに、屋上から走ってきたとかだったりして。
先輩の体力は底知れないなぁ、なんて思いながら空を見上げる。
そして、ふと見つめた場所に、あれ、と思った。
……ここから、屋上が見える。
さっきまで、先輩がもたれていた、フェンス。
ってことは
あっちからも、ここが見えていたということ。
……まさか、先輩…
私がこうなったの見つけて、走ってきてくれたの…?
「……ふ…ぅ」
情けない。私。
こんなことで、泣くな。
二度と、弱い自分は見せたくない……。