篠田くんの取扱説明書
*大雅side
「秋穂ちゃん」
「あれっ先輩!
どうしたんですか?」
「桃奈ちゃんのカバンを取りにね」
2年D組の教室に来て、秋穂ちゃんに声をかける。
俺の言葉を聞いたら、秋穂ちゃんの表情が曇った。
「桃…なにかあったんですか?」
「……まぁ…今、授業受けれる状態じゃなくてね。
早退するって」
「先輩…桃に、ついてあげてくれませんか?」
秋穂ちゃんは桃奈ちゃんのことを心配して言ってるみたいだけど、
……俺がそれをやるべきなのだろうか。
俺の役割じゃない。
でも…今は俺が守らないと、桃奈ちゃんが…。
「とりあえず家まで送るつもりではいるけど…」
「……先輩に頼んでしまって、ごめんなさい…」
「いいよいいよ。
巻き込んだ原因は俺にもあるし」