篠田くんの取扱説明書
水をかけたのは百華じゃなかったけど、
その隣で笑っていたのは、間違いなく百華だった。
「……秋穂ちゃん、
そういえば、仁はどこに?」
「……さぁ…。
昼休み入ってから、どっか行ったまま戻ってきてないですね」
……なにやってんだよ、あのバカ。
自分が探し続けた女の子が、あんな目にあってんだぞ。
桃奈ちゃんは仁に昔のこと言うなって言ったけど、
……こんなの、黙って見てられるかよ…。
「とりあえず、カバン持っていくね。
長いこと桃奈ちゃんを1人にさせるの不安だから、急ぐわ」
「うん。
先輩、桃のことよろしくお願いします」
秋穂ちゃんがペコ、とお辞儀して手を振った。
……秋穂ちゃん、不安そうな顔してた。
たぶん彼女も、薄々気付いてるのかもしれないな。