篠田くんの取扱説明書



至近距離で睨まれ、思わず怯んだ。



……綺麗事?



逃げてる…俺が?




「これは…相手のことを思って…!」



「思ってんなら、
桃奈ちゃんが望むことしろよ」



「…!」



「思い出したくないって彼女が言ったか?
言ってねーだろ。
お前が1人で勝手に考えて、勝手に解決してんじゃねぇ」



「………」



「俺が言ったこと、忘れてんなよ。
お前は、なんのためにケンカしてんだ」




朝、大雅くんに言われたことを思い出す。



『お前は誰の、何のためにケンカするようになったのか』



俺は……



強くなるため。



あの子を…



久我を、守れるような男になるために、強くなりたかったんだ。





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