篠田くんの取扱説明書
「……次は殴る。
そう言ったよな?」
篠田くんの大きな手が、美月さんの顔を掴む。
篠田くんが美月さんに向ける瞳は、もう…好きな人に向けるような代物ではなくて。
殺気に満ちた篠田くんを見て、美月さんも、私を押した女の子も、恐怖で動けなくなっていた。
「次は殴るって…
わたしは近付いてない…!」
「近付いた、久我に。
久我を、傷付けたな」
「……っ」
「殺す…ぜってぇコロス」
篠田くんが、ギリ、と美月さんの顔を掴んでいた手に力を込める。
美月さんは痛みで、いやぁ!!と声をあげた。
それでも…篠田くんはやめようとしない。
美月さんが苦しそうに呻き声をあげた時。
「篠田くん…やめて!」
私は篠田くんの後ろから抱きついて、美月さんから引き離すように後ろに倒れた。