篠田くんの取扱説明書
「……っ、」
離れた隙に、美月さんが恐怖に満ちた目でこちらを見ながら逃げ出した。
「……久我」
「……篠田くん」
「……なんで百華を庇った?
アイツは、久我に嫌がらせしてたんだぞ」
抱きついたままの私の腕に優しく手を添えて。
さすがにもう殺気は消えていたけど
少し怒ったような声でそう言った。
「見ただろ。
今階段から突き落とそうとしたのも、
さっきの鉢植えも…全部百華の仕業だ。
それなのにどうして百華を庇う?」
私は
美月さんを庇ったわけじゃない…。
「違うよ…。
篠田くんの手を…汚したくなかった」
「……え…?」
「私のために怒ってくれたんだよね…?
でも、それで篠田くんが手を汚すのは、違うよ…」