篠田くんの取扱説明書
*仁くんの取扱説明書
「お腹すいたね」
「……忘れてた」
そういえばお昼を食べてなかったことを思い出して、教室に戻ることにした。
「久我」
「はいっ」
「……俺たち付き合うってことで、いいんだよな?」
照れた表情で言ってくる篠田くんに、コクコクと首を縦に振って応えた。
「じゃあ…桃奈」
篠田くんが名前を呼ぶと、心臓がきゅってなる。
美月さんと比べられるから、あんなにも自分の名前が嫌いだったのに、
篠田くんが呼んでくれるだけで、嬉しくて泣きそう。
「手、繋いで教室行こう」
「……せ、積極的ですね…!」
恋愛初心者の私にとっては、手を繋ぐこともなかなかにハードルが高い。
ましてや、みんなに見られる学校でなんて…!