篠田くんの取扱説明書
大事にピアスを持って家に帰ろうとしていたら。
「うわっ」
後ろからドンっと誰かがぶつかってきて、ピアスを落としてしまった。
……危ない。よかった、割れてない。
落ちたピアスを拾おうとしたら、横から伸びてきた手がピアスを奪った。
「……え」
「コイツ立花の子分じゃねーの?」
金髪の高校生くらいの男2人が、ニヤニヤしながら俺を見て。
次の瞬間。
「ぐぁっ…!」
いきなり顔を殴られた。
「……っ…!」
「マジでただの子分か。よえー」
殴られて、地面に座り込む。
人が全然通らない道だったから、助けも呼べない。
高校生2人は飽きたように俺に背を向けて歩き始めた。
……あぁ。去ってくれるんだ。
よかった。ずっと殴られるのかと思った…。