篠田くんの取扱説明書
「あーもうっ!
別に大した話ないじゃんか!」
秋穂に『先に教室に戻る!』と声をかけ、私は屋上を出た。
立花先輩、自由すぎる。
振り回すだけなら、やめてほしい。
……右手で、自分の額をそっと撫でた。
篠田くんも、立花先輩も、
この学校の中では、かなり危険人物だろうし…
そんな人とは、出来るだけ関わりたくない。
『痛い』『怖い』…そんな思いをするかもしれないのに。
……あぁいけない。そんなこと考えるだけで怖くなってくる。
その考えを消そうと首を横に振って階段をおりていると、
━━━ズルッ
「……えっ」
ちゃんと足元を見てなくて、足を踏み外してしまった。
待って、落ちるっ…!!
手すりに掴まろうとして手を伸ばす。
するとそれは、手すりを掠めることなく、温もりに包まれた。
「……大丈夫かよ」