篠田くんの取扱説明書
そんな声が耳元で聞こえた。
その後、カシャン、と私の眼鏡が落ちる音がした。
「…は…っ、
え…?」
「こわ。
いきなり上から人が降ってくるとかねーわ」
まだ状況がつかめてない私の耳に、また気怠げな声が響く。
えっ…と、私、階段から落ちそうだったよね?
びっくりして動けない私を、その声の主が階段に座らせてくれた。
「あぶねーな。
俺がいなかったら大怪我してたんじゃねーの」
掴んだままの手から、その人の顔へ視線を移動させる。
眼鏡がないので視界がボヤけてるけど、
その、目立つ髪色で、誰かわかった。
「……え…?
篠田くん…どうして…」
「落ちてきたから助けただけだ」
助けた…
篠田くんが、助けてくれたんだ…?