篠田くんの取扱説明書
「……ほら、眼鏡」
「ありがとう…」
篠田くんが、落ちた眼鏡を拾って、渡してくれる。
あれ…。
篠田くんって、こんな人だっけ?
篠田くんだったら、助けるどころか、余計に怪我を増やしかねない…と思っていたのに。
私を助けた…?眼鏡まで拾ってくれた…?
「ありがとう…」
「今聞いた」
「ご、ごめんなさい…」
「なんで謝る」
篠田くんが突然、私に目線を合わせるようにしゃがんだ。
「どこも怪我してねーだろうな?」
私の手や足を見ながら、篠田くんが言う。
「……はい、どこも痛くないです」
「ならいいけど」
はぁ、と短く息をはいたら、篠田くんはまた立ち上がる。
「……ほんとにお前…変なやつ」
「……へ?」
「なんで咄嗟に助けたんだろうな。
普段の俺なら、殴ってるのにな」