篠田くんの取扱説明書
あんまり邪魔したくないのに、篠田くんが行ってしまうの!?
私が行くのを止めたせいで、篠田くんは首を傾げてこちらに振り返った。
「……屋上に行ってほしくない理由でもあんの?」
「…あ、う…えっと…」
どうしよう、正直に言う?
でももしかしたら、先輩に用があるのかもしれないのに…私の判断で篠田くんの邪魔していいのかな?
目を泳がせると、篠田くんがはぁ、と短く息をはいた。
「……そんなに屋上行ってほしくないなら
別の場所で寝るからいいよ」
篠田くんは私に文句を言うこともなく、すぐに階段をおりていった。
立花先輩に用があったわけじゃなかったんだ…よかった。
意外に、素直に言うこと聞いてくれたり、物分かりがよかったり…。
篠田くんって、思ったより怖い人じゃないのかもしれない…。
そんな一面を見た気がした。