篠田くんの取扱説明書
*篠田くんに渡したい
「ねぇ、桃」
「ん?」
「今日、部活あるんだけどさ、
もしよかったら、桃も来ない?」
「あ、もうそんな時期だっけ?」
「そんな時期です!」
数週間が経ち、文化祭が迫ってきた頃。
料理部の秋穂がわくわくした表情でそう言ってきた。
料理部は、文化祭シーズン前とバレンタイン前に、部員じゃなくても誰でも部活に参加できる特別な日がある。
「立花先輩に作ろうと思うの。
桃も先輩にお世話になってるし、どうかなって思って」
「……そうだね。
今日暇だし、
先輩へのお礼をあげるのも兼ねて、参加しようかな」
「やった!
材料はあたしが余分に持ってきてるから、安心して!」
「ありがとう、秋穂」