篠田くんの取扱説明書
そう。
告白シーズンって呼ばれる代表的な日の前に、
調理室を部員以外にも解放して、お菓子作りをしようという日がある。
恋する女の子たちを応援する、料理部の粋な計らいだ。
「今日は、チョコチップマフィンを作るんだー♪」
手書きのレシピノートを大事そうに抱えて、頰をピンク色に染める秋穂。
初めて先輩と一緒にお昼を食べた日から、秋穂と先輩はなんだかいい雰囲気で。
篠田くんは先輩のことを、『あまり人のことを信用していない人だ』と言っていたけど、
先輩は秋穂のことを信用してくれてるんじゃないかと思う。
「あ、でも桃も同じもの作ったら…
先輩、チョコチップマフィン2つもいらないかな?」
「あー…そうだねぇ…」
「じゃあ、桃、
篠田くんにあげる?」