篠田くんの取扱説明書
はぁ…シャツもセーターもビショビショだ…。
セーターを脱ぎ、シャツの裾を絞る。
セーターも絞っていると、ぶわっと風がふいた。
「……っ、へっくしゅん!!」
うーん…セーターを脱いでて濡れた服でさらに風もふくとは寒いの極みだよ…。
ぶるっと体を震わせると、
後ろから「おい」と声が聞こえた。
「なにしてんの?」
「し、篠田くん…」
全身ビショビショの私と、雑巾みたいに捻れている私のセーターを見ながら、篠田くんが首を傾げる。
「……ゲリラ豪雨?」
空を見上げながら、「んなわけねーか」と呟いた。
んなわけないよ。うん。晴天だもん。
でも、きっとただの事故なのに水をかけられたというと聞こえが悪いよね。
「……とっても狭い範囲のゲリラ豪雨でした」
「へぇ」